9月から始まった新制限。これらが非公認大会初参加、という方も多かったのではないでしょうか。
プラクティス杯は、まさにそういった層に照準を合わせた大会でした。
キーワードは「敷居の低さ」と「わかりやすさ」。
告知に併催された文章が、コンセプトをよく表しています。
今大会は、普段大きな大会には出られていないプレイヤーの参加も視野に入れ、分かりやすい大会形式をとりました。
参加費なども極力抑えてあります。
運営陣も参加者の皆様が快適な環境でプレイ出来るよう心がけ、普段の店舗大会とは一味違う本格的な大会を気軽に楽しんでいただけるよう努めさせていただきます。
CS未経験者は、大抵が「怖そう」「制度が難しそう」というイメージをCSに対して持っています。
実際に参加してみればまずそんなことはないのですが、新しい世界に飛び込むことには誰しも抵抗があるでしょう。
そういった未経験プレイヤーにも参加してもらうため、まずは大会名からCSという二文字を外し、参加費は500円まで抑えています。
デッキ構築に初心者向けのストラクチャーデッキが存在するのなら、非公認にも初心者に優しい大会があっていいはずです。
プラクティス杯は、そういった人達にとってのプラクティス――CS参加の練習になるような場を目指して作られました。
間口の広さに釣り合うよう、大会制度もできるだけ簡単なものに。
カードゲーマーにはお馴染みの「スイスドロー」という形式ですが、決して一般的に浸透している言葉ではありません。
オポーネント計算なる、更にわかりづらい用語が出現することもあります。
どうやって決勝進出者が決まるのか、すぐにイメージしづらいことは参加の障害になり得ます。
しかし「トーナメント」では、対戦回数の少なさがネックとなります。
記念すべき初参加なのに1回負けて終わりになってしまっては、あまりにも寂しい経験として記憶されてしまうでしょう。
そういった状況を踏まえて、今回採られたのは「総当たり」。
最大96名の参加者を6名ずつ16個のブロックに振り分け、ブロック内で全メンバーと対戦を行う形式です。
この制度によって、予選5回戦+決勝4回戦という豊富な対戦回数を確保しました。
日常生活でも単語としても聞き覚えがあり、イメージのしやすさは抜群です。
また本大会では、1つのブロックのメンバーは常に同じ1テーブル(6席)だけを使用するようになっていました。
同じテーブル内だけでブロックメンバーが動くので、必然的に顔を覚えやすくなり、交流の契機にもなります。
各テーブルに貼りつけられていた案内用紙です。
各個人の受付番号に加えて、諸注意と対戦席も掲載されています。
参加者移動や運営ルール質問といった、大会進行の遅れとなる要因を解決していました。
言葉としては理解しやすいものの、実際に慣れてはいない総当たり形式。
ブロックごとの対戦組み合わせ表とテーブル番号は、常に会場前方に掲示していました。
自分のブロック内成績も直感的にわかります。
形式に関連する細かな施策にも、わかりやすさが第一に考えられていました。
予選で採用されたのは「制限時間40分が経過したら、そのデュエルを強制的に引き分けにする」という方式です。
エキストラターンに関するルールは、大会慣れしていないプレイヤーほど把握していません。
正規ルールを覚えてもらう方が先々のためには良いのですが、今回はCSの雰囲気を味わう非公認大会です。
その甲斐あってか、決勝トーナメントに進出した16名中、サイドデッキにエキストラ対策のライフ回復カードを入れているプレイヤーは1人もいませんでした。
敷居を下げる一方で、締める所はきっちりと。
CSという名前を付けなくても、デッキレシピは事前提出。
不正防止だけでなく、今回はサブイベントでも利用されました。詳しくは後述します。
もう一つ、本大会で厳正に対処しようと取り決められていたことがあります。
それは「遅刻」です。
電車の遅延等の事情があろうとも、必ず10:45に開始する、と運営陣間で決定されていました。
幸いにも、今回はレシピ提出遅れや遅刻で罰則を受けたプレイヤーはいませんでした。
本大会に限らず、大会に参加するときは余裕を持って会場に向かいましょう。
初心者に優しいというスローガンは、プレイヤーでない一般人の感覚を忘れないということでもあります。
遊戯王のイベントは、試合を一斉に始めるという独特性のため、多くの大会で参加者都合で30分,1時間と開始が遅れてしまう――言ってしまえば「甘い」現状があります。
ですが一般的には、規定時間に遅刻しているのだから、相応の罰が下されて然るべきです。
また、そういった状況から開始時間を伸ばしてきた慣習は、運営側としても不本意なものだったのでしょう。
プラクティス杯は「常識的な大会」とも言えるかもしれません。